Ohminoryは、2025年に生まれたばかりのワインです。歩みを始めたばかりですから、「これが私たちの味です」と胸を張って言えるほどの歴史はまだありません。これから先も、Ohminoryは変化を重ね、そして私たち自身も変化を重ねていくのだと思います。
ただひとつ、食用ブドウを育てていた頃からお客様から繰り返し耳にしてきた言葉があります。それは「やさしい味」という言葉です。ワインづくりに取り組む以前、私たちは10年以上にわたって、食用ブドウの栽培を行ってきました。いつも直売所でブドウを買ってくださるお客様が、ある日ふと口にされた「ここのブドウはやさしい味するね」という言葉。そして今、Ohminoryのワインを飲んだお客様からも、同じ言葉が聞かれます。
ワインにおける「やさしい味」とは、一般的にタンニンが控えめで、口当たりや舌触りが滑らか、全体として穏やかな印象といった特徴を指します。しかしお客様が口にしたその言葉には、さまざまな意味や想いが込められていると、私たちは考えています。例えば、作り手の顔が見え、その仕事が近くに感じられること。家庭の食卓や地域の食文化に寄り添えること。そして「農作物としてのワイン」として安心して味わっていただけること。そうしたことが「やさしい味」として伝わっているのであれば、それこそがOhminoryの個性なのかもしれません。
なお、「やさしい味」は、技術的な裏付けによっても支えられています。私たちは醸造・熟成・保管の全ての製造過程において、不快な臭い、いわゆるオフフレーバーを出さないよう細心の注意を払っています。成熟した健康なブドウのみを使い、厳格な衛生管理と温度管理で発酵中の微生物汚染を防ぐ。こうしたクリーンなワインづくりが、ブドウ品種本来の果実味を引き出し、繊細な味わいを生み出します。
ボトルを開けたとき、グラスに注いだとき。Ohminoryの「やさしい味」の中に、近江八幡の風景と、私たちの営みを感じていただけたら幸いです。