土地のこと

近江八幡の豊かさ、新しい地酒

Ohminoryが生まれる近江八幡は、とても豊かな土地です。

琵琶湖に面し水が豊かなため古くから農業が発達、今も見渡すかぎりの田園風景が広がっています。また、水運に恵まれていたことで商業の中心地としても発展、江戸時代には近江商人たちが行き交いました。こうした自然環境と歴史を背景に、近江牛や鮒鮨といった独自の食文化が育まれ、人々の暮らしに息づいています。

この豊かな近江八幡にながらく存在しなかったもの、それは「地酒」です。かつては幾つもの造り酒屋があったそうですが、時代の流れの中でその灯は消えてしまいました。だからこそ、この土地の自然と文化に根ざした地酒を、それも昔ながらの米の酒ではなく、新しい農業技術を活かしたぶどうの酒をつくりたい。そんな想いから、かつて田んぼだった土地に手を入れ、ぶどう畑へと生まれ変わらせ、自分たちの手で一からつくるドメーヌワインへの挑戦が始まりました。

少し専門的な話になりますが、一般的に「豊かな土地」とは窒素などのミネラル分を豊富に含む土壌のことを指します。近江八幡の土壌は多様なミネラル分を多く含み、さらに水も豊かで、まさに米作りには理想的です。一方、美味しいワインは「痩せた土地」でできると言われます。これは主に水はけと窒素の含有量の話で、実際そのままの近江八幡の土壌では美味しいワイン用ブドウは出来ません。しかし、水はけを良くし、土壌のバランスをコントロールすることで、むしろ窒素以外のミネラル分はポジティブに働きます。私たちの畑では、土地の高低差を数センチレベルで整え、また暗渠排水の導入によって、水はけを劇的に改善。また、地元の森から採取した腐葉土を混ぜ込み、何年もかけてこの地に最も適した微生物群を定着させるなどして、土壌の改良を行いました。

かつて米を育んだ豊かな土地で、今、ブドウが実りを迎えています。琵琶湖の水の恵み、栄養を抱え込んだ土地、人々の営みの歴史、土地に息づいた文化。Ohminoryという新しい地酒は、近江八幡の豊かさによって、味わい深く醸されています。